人を探す1号

以前住んでた場所に、行商というのか、道端にお店を出してるおばさんがいらした。
物静かで 控えめな感じのひとなんだけど、1号のことをよく気にかけてくれていて、
(1号がそのおばさんの前を通学していたのだった)
家に帰ってこなかった時に、「今日はまだここ通っていないよ、通ったらお母さんが探してるって伝えるから」とか、
校外学習でクラスメイトになじられていたようなときに、「こんなやさしい子に意地悪を言ってた子がいたよ、可愛そうに。気が強い子がいたみたいでね」
と言ってくれたりしたのだった。
自然とそこで買い物をするようになって、その後引っ越したのだけど、
引っ越す前に、「1号がおばさんとお写真撮らせてと言ってます、一緒に移ってもらえませんか?」と尋ねたら、恥ずかしがりながらも取らせてくれた。

引っ越した後も、1号が「食べたいね…おばちゃんの。。。」というので、
たまに買いに行くと、「まあ、わざわざ来てくれて。おまけしとこうね。
ぼっちゃんはおげんきね?もう、○歳くらいね」などと覚えてくれているのだった。

数年に一度くらい、「もう、やめようかな?」とおっしゃるときもあって、
「ううん、ここのが一番おいしいから、1号も楽しみにしてるから、値上げしてもいいからやめないでください」と言ってみたり…

「うん、新しい機械も買ったからもうしばらくやらないとね」




それがここ半年ほど、行ってもおばさんがそこにいない。

「雨が降りそうだったからかな…?」

「たまたまかな?」



これが数回繰り返された時、

1「今日は平日で学校が休みだから(代休)おばちゃんを探しに行く」

「誰を?」

1「○屋さんのおばちゃん…」

「ああ・・・」

1「周りのお店の人に聞いてみる」

「それはちょっと不審かも…」

1「しつこくならないように、身元調査にならないように聞けるから」


「じゃ〜私も行こうかな…買い物もしたいし」

というわけで、一歩遅れで私が1号のあとをついて、調査に…

1号は数年ぶりの地元だったけどすっかり町の様子が変わって「ドキドキする」とのこと

やっぱりおばさんはおらず、

1号は、周囲を見回し、

「このお店も変わった…ここも違う…

ここはおばさんがいたときからあったし、近いからここに」


「あっ、買い物してからお客さんになってから聞こうよ」

1号は あるお店の奥さんに

「すみません失礼します。

この向かいにいらした、○○を売ってるおばさんいらっしゃいましたよね?最近、いらっしゃらないんですが…」

「そのおばさんね。もう半年くらい来てないね〜やめたのかもね〜わからないけど」



1号は、調査して気がすんだのか、「はい。すみませんお邪魔しました」とあっさり引き返した。

家では「おばちゃん、病気じゃないといいけど…」と言っている。