夜に さめざめ

だいたい、私は、情が薄いほうだ。冷淡なほうだと思う。


子どもが布団を蹴散らしても かけてやるために 自分が起きたりはしないし、
(自分が寒いと、子どもの分まで布団を巻き取ってしまうことすらある)
寝るとき、甘い声で、二号が、「背中とんとんして」といっても、
「何回〜?」ってめんどくさく いわれた回数をたたいて、「99、ハイ、100回ね。」と終わってしまう。

しかし、これだけは駄目だ。

夜中の、悲しいすすり泣き。

年に数回 在るか ないかかもしれないけど、
寝てた子が、「しくしく→さめざめ」と泣き出すのは切ない。

昨日は二号が、ホントめずらしいけど 夜中に半起きで、さめざめと泣いている。
ちょうど、夜中に帰ってきただんなに麺を茹でてるとこだったけど、この際はさめざめが優先。


「どこが痛いの?」おなか?冷えていない。→「違うの」
頭?→「違うの」、体の下敷きになってた ウデがしびれてるんじゃないの?と聞いたら、
「そうだ」、といってさめざめ。
原因が取り除かれると、こてっと寝るはず。


でも、ウデを脱出させて 数分しても 同じ調子で「さめざめ」。

「この泣き方、おかしいよ」、と、だんなが できたての麺に手もつけず、
二号を居間に抱っこしてつれてきた。

「麺、食べる?」といってなだめながら、体を仔細に調べている。
二号が足の指を隠すように手で押さえている。

足の小指に、ぎっちりと輪ゴムが巻かれている!!
絞り染めするときの布みたいに、指先だけが赤黒く、ほかのところが白い。

寝る直前に巻いたとしても、3時間以上たっている!

「もう!なんでこんなことしたの!ゆびが腐るよ!!!」
とわたしは怒ってしまったが、

だんなは、「きつく巻いたんだね、怪我になってなくてよかったよ」とゴムをはずして
優しくなでて、優しい言葉をかけてなだめている。

二号は、だんなと目を合わせながら、麺をゆっくり食べ、食器をさげて、寝床にもどった。
と思ったら寝息が聞こえた。

こういうとき、だんなのほうがよほど母性本能が備わってるわ、と思うのだ。