初めて他人に通じた言葉


1号、5歳で帰国、幼稚園にはなじめないし、日本語の音は聞こえていないらしい(英語に聞こえたらしい)し、
おまけに自閉症との診断がついて、
言葉の教室のようなものに、月2回通った。



問い「お名前は」

答え「犬ワンワン」(といいながら机にのぼったりしてにげまわる)



こんな風で、誰も1号と話が通じなかった。

私と、単語とオウム返しでやっと指示がわかるくらいで。

(指示がわかったからといって従うわけではない)




その、言葉の教室の帰りに、

きったないラーメン屋さんによるようになった。

言葉の教室に行くのもイヤだったらしいので、
ラーメンで釣ろうと思ったのもある。 

みんなもくもく、殺伐と食べてる店だ。勝手に相席、お冷もセルフ。愛想も何もない。

何回か通ううちに


1号が、「カタイタマ!」

といった。


なに?カタイタマって。

すると、あいよ〜と、おばちゃんが、茹でた麺のおかわりを持ってきた。

1号は平気で食べている。



周りのおじさんや学生たちが、麺のおかわり(硬めに茹でた麺ください)をするのに使ってる言葉だった。


周りから何かを学んだ(模倣した)のはこれが最初だったと思う。

初めて通じた言葉、それはカタイタマ。