知らないものを楽しむ

1号は4歳ころ、ご飯とポテトとパン、のりしか食べなかった。

自閉症児にはよくあることらしいけど当時はまだ自閉症だと知らず…

青白い顔をしていた。

そしてアメリカに居たので、食事はみなさんいい加減(お弁当がパンとリンゴとジュースとかそんな感じ)で、それですんでいた。

アメリカ国内を旅行するときは、鍋と米とふりかけをもって行っていた…
コーヒーポットでお茶漬け用のお湯を沸かしたり…

そのころヨーロッパ旅行へ行き、1号は、食べられるものが見つからず(硬いパンはダメだったらしい)、

4日間何も食べず。(水、ジュースは飲むので・・・死には、しない)

ひとは野菜を食べなくても、とりあえず10年くらいは生きられると(10歳くらいまで偏食だった1号を見て)思った…



その1号を、インド料理屋さんにさそった。

「インド人は日本語通じると?どうやって注文すると…俺インド語わからんけど」「まあ見てみたらわかるよ」


結局インド語なしでも1号は自分のものを注文し、ウマイうまい言いながら全部食べ、みちこの(のこした)分まで食べた…


「初めて食べる味でも大丈夫なん…?」(すべての味付けになじみがないはず、以前は、一つくらいなら我慢して食べていたが、知らない味が二つ続くと爆発していた)


1号「いや・・・・?おいしいよ…俺このスパイスの一杯入ったものが好き!

特にこの豆のせんべい…何マメから作ってるんだろう」

「帰りに聞いてみたらいい」


帰りにレジで、

1号がもじもじするので私が、

「まめのおせんべいがおいしかったのですが…何マメでできてますか?」

と聞いたら

「う〜〜〜ん・・・(インド語)、豆…


よこまめ!白くて大きです」(ジェスチャーは手を左右に広げている)


私(横マメ?白花豆?)「はい・・・1号、横マメだって。」


1号「おかあさん、それ”ヒヨコマメ”じゃないかな」


インド人「そうそう!ひよこ豆!」





と言ってる間に4号は別のインド人に、抱っこしてもらい、チュッちゅちゅっちゅされて喜んでいた。


まさかあの(外国が悪夢だったと語る)子供が、知らないものを楽しめるようになるとは夢のようだと思った。