抱っこできる人とできない人

ずっと、、、以前読んだ本で、こんなのがあった。

著者は看護婦さんで、時代は 自閉症が まだ 一部の医者にのみ認知され始めたころ。
診断がついた、とはいえ 治療薬もなく、どう扱って良いやら だれにも、わからない。

自閉症と診断された子供たちは 精神病院に 隔離され、とはいっても
治療もなされないまま 二次的な行動の障害は頑固になって、年を重ねていく、、、

それ自体 とても つらい本だったけれども、

ある一文にはナルホドとうなづいた。

それは、

「(自閉症の子どもたちを)
抱っこできる看護婦さんと、どうしてもできない人が居た。」

というようなものだった。
もともと自閉症の子は 赤ちゃんのころから抱きにくいことが多いらしい(もちろんうちの子も、)

ただ、抱っこできる人は、必ず事前に、子供に向かって、

「抱っこしていいかな?」と聞いて よさそうだったら、抱き上げる。

抱っこしたら暴れられて、噛みつかれる人は、
「かわいいねって抱っこしたのに!」と不愉快になるが、いきなり抱き上げた、というものだった。



これは端的な、重要なことだと私は思う。

知恵遅れだから、言葉もわからないだろうから、でも、かわいいからといって、
自分本位に いきなり抱き上げる人には、もちろん自閉症の子だって(だからこそ)
びっくりするだろう。

言葉が通じてるかどうかは定かではなくとも、
子どもを尊重してくれる人のことは、嗅ぎ取るだろう。

抱っこが たとえいやでも、抱かれてみてもいいかな、位に思うチャンスはあるだろう。



その本を読んだ数ヶ月前に、
1号が、ある人を 泣いて追いかけて噛む、
という行動がひどくなって私も悩んでいた。


その人は、ある教室の先生で、わたしは1号の楽しみが増えるといいな、と、
その教室に入れてみたのだけれども、、、

なのに1号は、毎回激しく泣き、先生に噛み付き、引き剥がしても追いかけるで
こんなことは初めてで、私もショックが大きかった。

そのかたは、私に、

「みんな最初はこうです、でも、自分は慣れています。
プロですから任せてください、お母さんは黙ってみててください」

といわれた。腕は 噛み付き傷とかあざだらけだ。

1号のつけた傷だけではないものも、いっぱいで、、、
とても悲しくなった、、、。

助手の先生は うまく1号を扱えたが、1号を、教室に入れることはできなかった。
1号が怒り狂ってるときでも、助手の人を噛むことはない。

私は、どうしても 泣きながら追いかけて噛みつく姿を、みていられず、
連れ帰った、、、。
そして教室をやめた。

どうして あんなに 一人だけにこだわって噛むのだろう。
これからもあんなふうに人を噛むのだろうか、、、?
もう、集団には入れないんだろうか、、、?


初回、1号は初めての場所、音に耳をふさいでいたので
建物に入れるだけでも格段の進歩だなと思う段階だった。
ので 助手の先生に そう はなし、
「数回見学させてもらって、入っていけそうなら入れてください」と話していた。

でも、先生は、もちろん良かれと思ってのことで、時間が来たので、
1号の腕を引っ張って「始まりますよ!」と
教室に入れた。

それから1号は、先生を、噛む追いかけるだけになってしまった。

ようちえんでもそうだった。噛みはしないが、自分の担任から逃げ、言うことをまったく聞かず、
赤ちゃんクラスの先生に抱きついて はなれなくて、、、。
赤ちゃんクラスの先生の言うことはよく聞いた。

1号が、気を許す人とそうでない人ははっきりしていた。
気を許せない人がいると、同じ部屋には入らない。

今振り返って思うのは、
1号を、「正しいほう」に合わせさせようとがんばる人には
1号は激しく 抵抗したんだ。

同じことをさせるにも、「1号君、これはこうなんだけど、やってみる?」
といってくれる、まず合わせてくれる人には、よくなつき、
能力はぜんぜんだけども 合わせる努力はしていた。

私も いまでも、よく、1号に無理強いをするんだけれども、
また、1号も成長してるので合わせることも少しはできるけど、

基本的には、まず1号のペースにこちらがあわせて、信頼を得た後、
1号の意思を 確認しながら 補助していくことしかできないように思う。

人を傷つけるとか 大迷惑かける行為は 
はっきり 正常なルールを教えるべきだから、
ここは譲れないんだけれども、、、。

何人か、1号を扱える人、扱えない人を見て、
違いは、「一人の人として自分と同等と見てるかを、自閉症児でも嗅ぎ取る」
ということではないかと、、、。

嗅ぎ取るという部分には自信がある。

本の著者は、接する方法は 真っ暗闇でわからないと悩みながらも、
自閉症の子どもたちを、人として 扱い、対等に向き合っています。



(((本について、、、↓ですが、
図書館で借りて返却してしまった本なので、記憶違いの箇所がありましたらすみません。)))

http://www.e-hon.ne.jp/bec/SA/Detail?refShinCode=0100000000000031211332&Action_id=121&Sza_id=E1