飲み込みのいいおじさん


親類の家で食事をいただいた。

1と、だんながいないときに、そこのご主人が



「mmさん。

1は、中学は、普通に行けそうかい?」


この質問だけ見ると、いやな質問なんだけど、

このおじさんは、私はひそかに尊敬している。

ちゃんと話せば、そのまま受け取ってくれる人だ。

ただ、高齢なのと、若干エリート志向がある人なので
障害のある人とかが好きでない可能性はある、

と思って、すべて だんなを通して1のことを話してある。


「いいえ、無理すれば いかせることは出来るかもしれませんが、
ムリさせると潰れてしまうので(幼稚園のときにひどく潰れたのを、このおじさんもみて知っている、かなり動揺されていた。でも、私のせいだとは一度もいわれたことがない。)
、ムリさせて”普通”には、行かせないつもりです。」

「そうかー。

では、よくなってるか、悪くなってるかというと、どっちなんだい」


「治ると言う意味ではないんですが、行動はよくなってきてると思います。

よね?昔おじさんにしてしまったような、

噛んだり悪態ついたりは、もうしないと思います。


このまま、なんとか、少しずつ 適応しながらも、

やっぱり、「ちょっと難しい人」として、育っていくと思います」


「知り合いに教育関係者がいるんだけど、
こういうこの 行く学校のことを聞く時は、どうすればいいんだい。
何学校といえば通じるのかな」


おじさんの年齢では、不名誉とも 隠したいとも 思う人がいるようなことを、
知り合いに聞いてくれようとしてるんだな、
とわたしは胸が熱くなった。


「そうですね、特殊学級か、支援学級というと通じると思います。

100人子供がいれば、何人かは、難しい子なんです。そういう子向けの学級が、あります。」


保健室登校って言うのかと思ってたんだけど、違うんだね。

支援学級ね、わかった。

あなたが、1を、普通に行かせたければ、知り合いにそういえるかもしれないけど」


「いえ、そういう気持ちはありません。無理に行かせたら、それこそ、保健室にも近寄らなくなると思います。」


「でもね、1と同じような子が集まる学級というのは、全員、こういう子ばかりということだね、それは、すごく大変なんではないかい」


私は にやっとした。

やっぱり、このおじさんは、話せる人だ。

1を、「こういう子ばっかり」の学級にいれたことがあるんだけど、
かなり大失敗だった。
似た子どうしは、干渉しあって攻撃しあいみたいになってしまった。

お互いに、いいことはまねないし、悪いことばかり似てくるのだ。




「そうです。

ただ、いろんな癖がある子たちでも、全員にてると言う訳ではないので。

だから、いろんな学校を見て、そこにいる子どもさんとか先生とかを見て、

なるべく1がいけそうなトコをと思っています。


大学とかも望んでいなくて、何でもいいから、仕事ができたら上出来と思います。」


話しながら、おじさんが子犬を家に入れると、

「ぎゃ!!!!犬禁止!!」といって1は逃げ出し、

二と3は、うれしげに犬を取り囲んでいる。



「そうか、わかった。1は、あきらかに、二とか3とかと違うもんなあ。
穏やかになったけど、昔からだもんなあ。」

「そうです、生まれつき 難しい子でした」


ああ、こんなに通じるおじさんで しかも、1を受け入れてもらってるようで、

とても、ありがたい。