昨日、野菜料理のバイキングに1号と二人で行った。
ここにきたのは7,8年ぶり。
変わらずお店があることに驚いたが。
1号が幼稚園で苦戦していたのが、7,8年前だと思う。
そのころは、彼の正当な理解者はほとんど居らず、
情緒的にも荒れ、幼稚園に居る間中
給食はとうとう一口も食べず、誰にもどうにもできない感じだった。
たぶん、ここに数人で来て 1号の分もお金を払って、1号は何一つ食べずに帰ったんだと思う。フライドポテトくらい食べたかもしれない。オレンジジュースだけを飲みすぎて 後で はいたかもしれない。
(いつもそうだったので 特に覚えても居ない)
いま、目の前に居る1号が、自分で適当に席を立ちながら、おかずをよそい、汁をわんに注ぎ、野菜サラダを平らげ、煮物をたべ、いろんな飲み物を試し、野菜のかき揚をうまいうまいといい、どんどん皿を積んでいくのを見て、
本当に奇跡のようだと思ってしまう。(それは私の心の中だけのことだけど)
彼はコーヒーを持ってきたつもりで 砂糖を入れてかき混ぜているが、
それはどう見てもウーロン茶である。
「それ、色薄いけどコーヒーじゃないっちゃないと?
におい嗅がせて」
「コーヒーって書いてあったけど。薄いコーヒーやないと?」
「う〜〜ん、ウーロン茶だと思うよ、嗅いでみ?飲んでみ?」
飲んでみたら「ウーロン茶だね」「しょうがないから、残していいよ」
「バイキングは残したらいかんのやろ?のめるよ。ウーロン茶は紅茶の仲間だし」
といって全部飲んでしまう。
いくつか容器が並べてあって、「コーヒー」というラベルは壁に貼ってあり、その前の ポットには 「ウーロン茶」というラベルが張ってある(そのあたりに砂糖とミルクが置いてある)のを誤解したようだ。
結構混んでおり、両側を お客さんに挟まれた相席で
1号と向かい合っている。
片方が主婦の2人連れで、お澄まししながら、味のことをあれこれ批評しあいながら食べて居る。
もう片方がサラリーマンで、声高に、延々と愚痴を言い合い、憤りながら食べている。
私はその話を懸命に聞くが、どうしても二人が 具体的には何を怒っているのかわからずに(なんとなく、独断的な同僚が居る、虫が好かない、ということのようだ) ぼんやりゆっくり食べる。
1号は おなかに入るいっぱいいっぱいを食べて、
もういいのか、所在なさそうにしている。
そして延々と「○って車種知ってる?」と、矢継ぎ早に、自動車の車種と可愛さと年代の話になった。(彼が一人でしゃべってるだけで、私の返答は聞いていない)
これを聞いてると また まったく私は彼と共感できず、
彼も(たぶん)両側の知らないひとたちの会話の洪水にはさまれて居心地が悪いから 安心できる話題をやるんだろうな、といかにもレインマン的である。
彼は、もともと、ぴょんぴょんするとか 動作で手をひらひらさせるとか、貧乏ゆすりをするとかはないので、見た感じの自閉症っぽさは薄い。(表情は硬いし、目の動きなどはいかにもであるけれど)
その分、言葉が常同的である。大体の会話は通じるけど、これ(延々と車の話し、相手が「興味ない」といってもかまわず)には面食らう人が多いのではないかな。
別に自閉症が治ったわけでもないし、彼はこんな感じで一生を過ごすのだろうなという気がするが、それはぜんぜん悪くないと(私は)思う。