こだわりがこじれる

1号が、着るものへのこだわりを持つのは、
ここ12年以上のことである。

最初に(おかしいな)、と思ったのが2歳半ころで、
夏に半そでを着せようとしたら一晩中泣いた。

一晩中泣くより 薄手の長袖を着せたほうがましなので そうした
(周りには「あせもができる!」「大汗かかせて!」トいろいろ言われたがしょうがない)。

それと同時に、決まったキャラクター(キティ、ミッフィー)がついてないと 着ないので、
私がマジックペンで書いたり、別の布地からキャラクターだけ切り取って貼ったりした。(これもかなりみすぼらしかったがしょうがない)

アメリカ(幼稚園)では、半そでだろうと長袖だろうと、
「なぜ?」と聞かれることはたまにあれど、
「本人がこれが良いと言うのでいいみたいです」といえば、
それ以上何も言われたことはない。


小学校(日本)に入ってからも、毎年、衣替えで先生とバトルになった。

無理にでも着替えさせようとする先生とは絶対にうまく行かず、
先生が「絶対明日から半そでを着なさい」といわれると

1号は、長袖のうえに半そでを重ね着して乗り切ろうとし、
先生はますます不愉快に(馬鹿にされたと思われたのかな?そうではないのですが)なられるのだった。

自閉症のことを良くわかってくださる先生は、
1号にもっと上手な方法で、半そでを着れるようにして下さった時もあった。
でも基本は 毎年、本人が納得するまで長袖で過ごしてるのだった。

高学年になって、中学になったら困るだろうから、との先生の勧めで 
ボタンのあるシャツや、Gパンやベルトを使わせようとしたが
せっかく買っても一切無駄だった。
本人曰く「一生着ないから誰かに上げて」と。


さてさてこんな子が中学になって、
ボタンで首まで絞めるシャツや、重いベルトや、暑苦しいズボン、重たい上着、といった制服が着れるんだろうか。

とみな心配してくださったらしい。

本人も相当イヤだったらしく、
重い上着だけは どんなに寒くても着ないのだった。
「着たらいいのに」「見てるだけで寒いよ〜」
といろいろご心配頂いたが 本人は絶対に着ないのだからしょうがない。
本人曰く「上着を着ると、とても不安になる」と。
いくら寒くても、カッターシャツのみ(それにユニクロの コットンのvネックセーターまではOK。羊毛が入ってるとチクチクがだめらしい) で過ごしてました。

先生とも話し合って、「式や写真撮影のときだけは 
上着を”着ない”という選択はできません、着るものです」といって守らせた。


ところがここ数ヶ月、やけにボタンつきのカッターシャツ(だけ)が気に入ったらしく、
自分の私服まで「ボタンつきのシャツをぜひ買って欲しい」というし、

3号にも無理やり、ボタンのついた服を着せて全部ボタンをはめるし、
(「これはうえ二つくらいボタンをはずして きるんだよ」と言い聞かせてもだめだった)


「俺中学を卒業しても、この制服のカッターシャツが着たい、
胸のところにマジックペンで”卒”と書くなら (外出着として)きてもいいと思う?」

というので

「やめとき。それじゃ不審者だよ。

制服というのは所属を表すので、基本、その所属でなくなったら着てはいけないものだよ。”卒”でもだめだよ。

家で、体操服のジャージをきる くらいまではいいけど。

カッターシャツが好きなのなら、普通の白のをジャスコで買いなよ。
制服じゃないのがあるから。

あ、それと毎日アイロンは自分でやってね」



あんなに嫌ってたものに逆にこだわる愛着を持つなんて、
不思議だなあと思うが 
もういい加減 服へのこだわり自体が薄くなって欲しかったりする。

ユニクロは 着心地が良く、軽く、1号のお気に入りである。
値段も安いので助かる。

1度、だんなの服をみに紳士服屋に 家族みんなで行ったら、
1号が ラグビーシャツ(襟付きでシマシマ、きごこちもよさそうというのが良かったらしい)を欲しがって 1万円位して驚いた。いまだに見るたび「この服1万円もしたんだなあ。。。もう、高い店には決して連れて行くまい」と驚いている)