「1号二号を、野球の応援に連れて行ったら喜ぶだろう」とだんなは言う。
自分は子供のころ、スポーツ観戦がうれしくてしょうがなかったから、と。
いや、だんなが想像する形で喜ぶのは二号だけですね。
野球の応援が音がうるさいこと、試合は二時間くらいあって、1号には退屈なことを、
だんなと1号に確認したが、両方とも、「行ってみよう」「いってみる」というので、、、。
1号は、予想通り、応援が始まった瞬間にベンチから飛び上がり、
「お父さん、もう野球を見たので、電車に乗って家に帰りたい」と言い出す。
だんなは 大きく落胆。
だんなを残し、1号二号を、外に連れ出し、1時間半くらいを、公園で遊ばせて、
試合が終わるころにもどることにした。
(二号は、だんなと一緒に球場に置いておきたかったが、だんなは、連れて行けという。)
「もう少しで終わるからお父さんを迎えに行く?」と聞いたら、いく、というので、
球場にもどってきて、私たちは、音が一番低い場所で野球を眺めた。
1号にカンタンなルールは説明したが、無論興味もないし、
質問もしてこない。
二号は、「お父さんのところがいい」といい、混み合った客席のうちにだんなを見つけ、すいすいと経路を割り出し、ひとりで
だんなの元へ行く。
そして、わたしたちの居場所まで だんなに知らせているのが遠くに見えた。
彼女は、わからないなりに、応援をエンジョイしている。
チアリーダーの踊りをまね、応援歌にあわせてメガホンを振り、
やんややんや、である。
1号のほうは、試合が終わったら、雰囲気でわかったのか、
「楽しかったね、野球の試合」と棒読みで言い、立ち上がったので、
わたしたちも、だんなに合流した。
家に帰ったら、1号は早速、厚紙を切り、箱を作って、野球場っぽい建物を作った。
中には、ユニフォームを着た動物が数匹、着せ替え人形になって入れてある。
人形の一人は、投げつつ打っている。
作る間中、球場で流れていた、応援歌をハミングしていた。
ヌイグルミたちに、「これは野球なんだよ、面白い?」と説明している。
箱庭を1号は得意げにだんなに見せたので、
「1号は自分なりのかたちで、野球を楽しんだのよ」、
とだんなに言ったら、
お前はそんな風にいつも言うけれど、そうかなあ?、、、とあまり信じてもらえなかった。