喜ぶべきことなのよ

1号が、ある時期、行商のおばちゃんたちと 非常に仲良くしてる時期があった。

通学路に、商店街があり、その、個人商店の店先に、さらに 別の、
個人の リヤカーや 軽トラックで荷物を運んで売ってるおばちゃんおじちゃんたちがいる。


そのおばちゃんおじちゃんのことを、毎日1は観察し、挨拶し、
ちょっとした世間話をし、「今日は ○売りの人がいなかった」「○さんは怪我をしたらしい」「店が場所を変えるらしい」といっては気を揉み、
お手紙をもらってきたこともある。

歩いていて 酔っ払いにからまれた(というか、多分 酔っ払いが、怒鳴り散らしながらふらつき歩いてたらしい)ときも、
1は ある行商のおばちゃんの後ろに駆け寄って隠れたらしい。


1と歩いてると、
「あら このこのお母さんなのね。いつもおしゃべりしていくのよね。」
とよく言われたものだ。


がしかし最近の1は、わざと違う道を通ったり、
あっても知らん振りしたりで、
(挨拶しなさい)といってもイヤイヤながらしかしない。

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そのなかの、ひときわ上品で やわらかい雰囲気のおばちゃんがいる、
買い物すると、そっとおまけしてくれたり、ぐずる3にお菓子を握らせてくれたり、
何にもないけどゴメンネといって、サラ金ティッシュをたくさん入れてくれたりする。

(この辺の商店街では、サラ金ティッシュが通貨として出回っているのかもしれない)


そのおばちゃんが 「こんにちは、ちょっと、ちょっと」と手招きされる。


「最近は、1君は、ここを通るときも、しらーんふりするの。


でもね、ずうっと先まで行ったら、立ち止まって、こっちを、チラッと、みるのね。

恥ずかしくなってきたんでしょうね。

男の子だもんね。

もうじき、反抗期かな、お母さんとも一緒に歩かないって言い出すのね」


といわれた。

「ええっ、すみません、挨拶するようにっていってるんですけど!
最近、聞かなくて。」


「いいと、いいと、しからんでいいとよ。
この話も、1君にいわないでいいからね。

ただ、奥さんによ、大きくなったんだな、よかったねって言いたかったの。

おめでたいことよ。」



「うーーーん、そうかもしれないですけど、寂しいですねー、」

おばちゃんは、3をみながら、
「何言ってるの、寂しいなんて、ほらまだこんなちいちゃい子いるでしょう、
喜んでいいとよ。」


いくらちびっ子が居ても、やっぱり1がフンッとなるのは寂しいな。


そして2もフンってなる日も近いのかな。