組体操


1号は、とてもとても不器用だ。

ダンスも、2テンポくらい遅れている。

私もそうなのでわかるんだけど、怠けてるとか ふざけてるわけではなくて、
右手がこう、左手が違う動き、足はこう、しながら 全体の隊列も変わっていく
なんて絶対ムリ。


二号が 得意げに、麗々しく踊る(婦人会並みのなめらかさ)のをみて、
奇跡のように感じる。


その不器用1号が組体操をすることに。

(どうせ できんのだから、せんでいいよ〜)と内心思う。


夏休み前から、プリントをもらってきて、おうちでも練習してくださいとお達しがある。

運動会の練習期間は、不安定になるし、うなされる度合いもぐんと増える。

これ以上家で練習なんて駄目でしょ。

はい、はい、といって(練習)しないつもりでいた。




が、プリントを見ただんなに火がついた。

「これ懐かしいな!お前、ちょっとこいよ」

といって、一番難しい「サボテン」をさせられた。
おち、おちる〜!!!



もうひとつ、1が逆立ちをして、相手が足を持つ。
というのがあった。

これは。

火星に生物がいるかどうかというくらいムリ。


だんなは1をガンガンしかり、(体育会系なのだ)
1が涙ぐむ。

「怖がるな!」

「ちがう!!!!なんでできん!!!!」

「だめ!」

あ〜
一生分の否定形を使ってしまわないでくれ。
(1号は、否定にとても敏感で、私は 1日に3個以上否定じみたことを1にいうと
情緒的に崩れることを知っている)

でも、1は、(あまりにだんなの気迫が怖いので)「もうやらない」とはいわない。


「だめ!足、揃えろ!!!」

「それじゃだめ!!」

「手が痛い…」



聞いてて切ない。

もうやめてくれないかな。



1はひっそりと、
「学校で練習してるやり方と違うから…」

と(わたしに)いうんだけど、
だんなに通訳しても、

「いや、これでないとできないから!」

といって強引に進める。

二が、自分もしたくて(体操大好き)うずうず、じりじりと1号に近寄っていくので、


「じゃあ お兄ちゃんの次に、あんたもやってみる?」

とまねさせてみたが、逆上がりを何度も出来る2でも、腕の力がなくてぺシャッとなる。

二も出来ないのに、1ができるわけないでしょ。



‘‘‘‘‘‘‘‘‘‘‘‘‘‘‘‘

ところが、

30日目くらいに



1が 逆立ち 出来るようになった。




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「ほらね。

できるんだよ。

お前は、できるって。

怖がってるだけだって。

学校でも同じようにやったらいいよ」




火星には生物がいるかもしれません。