「おいしそうなにおいね」

1号は、入学当時、給食室の前を通ると 顔をしかめてこういったものです。

「変なにおいがする」

それで 顔を押さえて駆け抜けたりもしました。

もちろん給食には手をつけません。
幼稚園でも二年ほど手をつけませんでした。

たとえ好きなものが入っていても、別の嫌いなもの(野菜など)と接してるので、「汚れている」といって食べませんでした。


昼休みか何かに、わざわざ給食室に入って、「変なにおいがします」といったこともあるそうで(これは1号が、「今日休み時間に給食室に入ってこういったんだよ」と言い出して発覚。)
事情を説明し、謝りに行きました。笑って許していただきましたが。

もちろん、「下水とか 悪くなった食品のにおい」 は していません。
健康な食品のにおい、清潔なお湯で洗ったにおい、しかしません。

むしろ懐かしく、おなかがすいてしまいそうな、いい匂いです。


家でも、フライパンで高菜をいためてると、
(↑これは、自分も長いこと嫌いだったので、、苦手な人には、結構強烈なにおい、と認めますが)
当時、絶対に、一人で 家を出なかったのに、
「公園に行って来る(あまりにも変なにおいがして)」
といって出かけたことがあります。

夕飯を作ってると、心配げに なべを開けてまわる というのも毎日のことでした。
「これ何」というので、「それは大人のだから あんたは食べなくて良い」というと安心してました。
お父さんがおいしいおいしい食べると、横からつついたりしてました。

もちろん、1号には 別に 食べられるものだけを作っていましたから、
変なにおいがしようとも、心配しなくともよかったはずです。

(食べられるものが極めて少なかったので、
開き直れば 毎日おんなじもので良いんですから、ラクでさえありました)

ところが最近は、
テレビで「トン汁うどん」のコマーシャルを見ては、
「おいしそう」といい、
(ゴボウをはじめて食べたときの感想−−「これ、、、土の味しない?」
でも そういったわりに、それから普通に食べるように。??)

だんなの夜食を作ってると、「ごま油のにおいだね、何炒めてるの」
といい、見知らぬ食材(たとえば砂肝)でも恐る恐る試食して(無理に口に入れると吐き出すので本人がほしいといったら 取らせて 食べています)「おいしいね」とお替りしたりします。

夕ご飯時にも、「おいしそうなにおいしてるね、何作ってる?」といって立ち寄ります。
そして 和え物などは「僕がしていい?」と自己流でささっと作ってくれたり。

どうしても食べられないのは、キャベツ(からしの匂いだそう)レタス(菊のにおいだそう)、なす、ピーマン、ゴーヤ、生野菜サラダ、青い豆類(絹さやなど)くらいでしょうか。

最近まで、「夕ご飯はなんにする?」「コレコレ作るつもりだけど、、良い?」と確認を取っていましたが、最近は確認なしでいいというのでテキトウに作ります。
取り分けるときに自分でさせれば、嫌いなものはよけます。

かえって 私の偏食よりマシなくらいです。

1号よりいくつか年下の自閉症の子が、
「臭い」といって給食室横を駆け抜ける、お母さんがそれを叱る、のを見て、
「ああおなじだった」と懐かしく思い出したのでした。

本人には、どうにもがまんできないにおいに感じてるのだろうと思いますし、
それも徐々に改善されるチャンスもあるんだと思います。