レインマンについて2点

1号は 「障害がある人が世の中にはいる」「あの人は たぶん、障害があるんだね」というときがある。

でも、微妙に浮いてる自分のことを、じぶんも障害があると思っているんだろうか?困っているときに、「あなたのせいじゃなくて、生まれついての障害なんだよ」といってやったほうがいいんだろうか?と思うときが増えてきた。

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映画レインマンのシーンで、精神科医が、(自閉症のある)レイモンドに向かって
「Are you autistic?
あなたは自閉症者なの?」

と聞くシーンがある。

弟もごくりと固唾を飲むが、私もごくりとして聞き入るのだ。


レイモンドはあっさり「No」とこたえる。

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このシーンはなんなんだろう?何でこのシーンが入ってるんだろう?
彼は自分がほかの人と違うことに気がつかないほど重度の障害なんだという言う事を言いたいんだろうか?

と私はずっと疑問に思ってきた。

「このシーン、どういう意味?レイモンドはじゃあ 自分のことを、なんだと思ってるんだろう」と、映画を見たほかの人に聞いてみたこともある。

「そんなシーンあったっけ」「質問の意味すら通じなかったのでは?」という答えが多く返ってきたんだけど、
ある人のこたえはこうだった。

「じぶんは自閉症者じゃなくて、
レイモンドだ、○○通り○番地のレイモンドだというんだと思うよ」

それを聞いたときからずっと、私は、それがレイモンドの口癖だからそういうのだろうと思っていたのだ。

初めてこの映画を見てから20年以上、じぶんの子どもが自閉症とわかってから7年くらいたった今、

このシーンはすごく重要というか、これが一番重要なシーンのひとつなんだろうと最近思う。
それが20年前に作られたことに驚く。

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もう一点。

私はずっと、レイモンドが 弟と旅行しながら すこしづつ、変化してきてるところばかりを見てきた。
弟が冗談を言い、それをレイモンドが「今チャーリーが冗談を言った」といって にこっとするところが好きだ。
冗談が通じるくらいレイモンドが世の中に適応していくんだ!と。

実は 健常者の弟のほうが レインマンと過ごすことによって、劇的に変化したというのに。

誰の言うことも聞かず、自己中心で回りをいいように利用するばかりだった弟が、
レイモンドに、軽く冗談を言ってから安心させてあげるほど、
弟が まったく自分の思い通りにならないレイモンドと付き合ううちに、
思いやりを持てた レイモンドが人を変えた ことのほうが大きなことなのに。

ぜんぜん、見てなかった。


ホント、これが1980年代の映画だということにいつも驚く。

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私は映画好きでもないし、たくさん見るほうでもないので、監督や脚本については知らないけど、
レインマンにはモデルがいること、年老いた父親に介助されて生活していること、映画が賞を取ったとき、モデルの男性は、像をもらって、喜んで持ち歩いてみせてまわっているという記事は読んだことがあります。

きっと、映画を作った人たちは このモデルの男性を大事に思って作ってくれたんだなあと感動する。